Duchy of Mianach本編・ミアナハ公国

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ミアナハ公国

流行最先端の湖大国 ―― 大陸で最も美しい黄昏が映る街。さながら紅蓮に輝く炎のように。

地図
意味
鉱物
場所
腹・背・尾
中心地
公都
方角
南東
特徴
湖・密林・火山
首都
クレプスクルム
政治
専制君主制
統治者
ルチア公爵家
人種
ミアナハ人
国教
赤角教
元首
大公リナルド
他民族
ドロハド系

国の概要



炎鳥に身を焼く国

すべてを燃やし尽くす国。大陸南部――〈竜の腹〉〈竜の背〉〈竜の尾〉を有する湖と火山の国である。
国家元首は 〔リナルド・ルチア大公〕 。典雅な宮廷文化と共に流行の最先端を行く筆頭公爵家の当主だ。
彼らは政教一致の下、不死の命を与えるという赤き幻獣を政治の中心に据えている。
主要民族は〔ミアナハ人〕とドロハド系民族。古き血筋が残る貴族には竜の末裔たる〔赤牙族〕の血筋も居るようだ。
復讐と信仰に魂を尽くし、勢いよく燃え盛る業火のごとき国。

公家を支える暗殺部隊

ミアナハ公国は古き統一王朝〔ミアナハ神国〕の傍系として成立した国だが、いかなる時代も情報戦を得意としてきた。
暗殺や諜報はいうまでもなく、戦時中は優秀な暗躍部隊として活躍した。 
かくして彼らは鉄鉱山の〈竜の尾〉、貴金属地域〈竜の背〉を占有して最初の征服王朝を築いた。

橙に染まる街

公国首都が位置する竜腹は大陸一美しい夕陽が降り注ぐ地域である。その美しさを称えて首都は「クレプスクルム」――黄昏と名付けられる。
街並みは白亜、幾何学的な正円アーチの屋根と調和の取れた明朗な建築が立ち並ぶ観光地でもある。
竜頭戦争により破壊された建造物をギルドが中心になって再建中だが、新大公の趣向を多く取り入れ、繊細で優美な建築物も増加中だ。

宗教観

ミアナハ人は赤き鳥・赤角ハームを崇め、炎を神聖視する。 
この考えを赤角信仰、もしくは赤角思想と呼び、国教〔赤角教〕として政教一致の主軸とされる。彼らは赤き鳥の炎に焼かれると死後の魂へ幸せが訪れると説いて回る。


帝国の属国

直近の戦争時、ミアナハ公国の大公は〔帝国〕へある取引を持ちかけた。
それは――ガルタフト連邦国を共通の敵と見なし帝国・公国間で共同戦線を敷くこと。
というのも当時、両者とも〔連邦国〕と対立していたが、直接戦火に晒されるのは隣接する公国側だった。しかし侵略戦争以前より国力に衰えが見えていた公国は苛烈な攻撃を一国のみで引き受けるのは不等と判断し次第に外へ助力を求め始めた。

支援を受ける対価として公国は
〈竜の頭〉の支配権を正式に譲渡
諜報機関の情報共有など
帝国への属国化
共和国への橋渡し
などの条件を受け入れ、戦争終結後も互いに結びつきを強化した。
※ただし属国とはいえ自治権は残されている

対外関係



対ガルタフト連邦国
隣国は利害が衝突しやすい中、この二国も宿敵と称するに相応しい国際関係を築いてきた。 
方や連邦国が〈尾〉へ海賊行為を繰り返し鉄鉱資源を奪っていく、方や公国が更なる領土拡大を目論み〈背〉を越えて侵略する。
どちらともなく戦いの火ぶたを切ってきた二国は物理的にもいがみ合ってきたが、現在は思想的対立が顕著だ。
特に連邦国を発祥とする七竜信仰に対して、公国側は厳しい弾圧政策を推し進める。
なぜなら七竜信仰において、五匹の翼角のうち赤角を創った〔赤尾オーヴェド〕は最下位に属し侮辱の対象となるからだ。 
二国は宗教対立を繰り返し、関係悪化の一途を辿っている。


対オルドーク帝国
連邦国と異なり帝国との間を阻む障害物がなかった神国当時、二国は竜頭を巡って直接対決することが多かった。(密林地帯は神国が滅亡した後に作られた)


帝国風土



美しき天然要塞

    地図
    地図地域分布図 四地域詳細
  • 詳細東部  西部 中部  南部 北部

  • ミアナハ公国は自然豊かな亜熱帯地域であり、美しくも険しい山々と鮮やかな木々が恵みをもたらし、それ自体が侵入者を防ぐ防御壁となる。
    湖城が佇む「湖岸地帯」
    四百年に一度噴火する「活火山地帯」
    金銀財貨が豊富な「鉱山地帯」
    侵入者を阻む鬱蒼とした「地帯密林」
    領土の割りに人が住める土地が少ないことが長年の悩みであるが、背には貴金属、尾には鉄鉱。彼らが大陸を支配したのは必然だった。
    人口は〈竜の首〉にほど近い西側へ集中している。
    また国家の中心である〈竜の腹〉には煌めく湖が存在。湖岸へ沿って同心円状に作られた優美な町並みは絵画のようだ。

    東方地域

    「東方」は最高峰ソラス・ナ山脈を跨いで〔連邦国〕と国境を接す。
    また竜頭の守護にも戦力を割かなければいかず、終戦後も戦時下同様、張り詰めた緊張感に包まれる。この辺り一帯はアルノルド辺境伯の指揮下に置かれ屈強な兵が集う。
    
    「南東」は鉱山地帯。宝石・鉄器などの貴重な資源が国庫を潤す。
    しかし資源の乏しい連邦国が海賊行為を繰り返すため小競り合いが頻発している。

    西方地域

    「西方」の〈竜の爪〉砂漠地帯は拓けており、相互支援を続けるケアド共和国との明確な国境線は存在しない。 
    かの国にはこぞって求める資源などなく、不法侵入者も滅多にいないためだ。
    けれど〔共和国〕へ向かう公国配給隊が定期的に回って来るので、好んで住まうミアナハ国民は多い。
    また〈竜の腹〉寄りの地域は農耕地として最適。公国の食料自給率はこの地で賄われている。

    中央地域

    「中央」には首都と公国城が位置する巨大な湖がある。
    こには鉱山まるまる一つ削って作られた離島が存在。黄昏時はドーム屋根の湖城シルエットがくっきりと遠望へ浮かび上がる。 
     また典雅な装いを好む公国民は首都東域に高級リゾート地を作った。
    毎夜、国籍問わず金持ち同士が集って煌びやかな社交パーティーに明け暮れるという。

    北方地域

    「北方」密林が茂る天然の防御壁に守られる。
    湿原〈竜の首〉にほど近いこの場所は雨が多く、鬱蒼とした不気味な地域だ。
    現在は属国として親しい間柄の〔帝国〕と公国だが、慣習に従い、両国の軍が密林を挟み向かい合う形で駐留。
    なお既に滅亡した神国の聖都――廃墟となって以来「シレンティウム(静寂)」と名付けられていたかの都は、交通の要所として再び活気を取り戻しかけている。

    南方地域

    
    「南方」には鉄鉱が豊富な活火山〈竜の尾〉がある。 
    国家の象徴、炎を操る赤角ハームが住まう土地としてミアナハ人が神聖視する聖地へ。
    尾の先端には最果ての港街があり、赤角を研究する学者や聖地に留まる信者が集落を作って生活をする。

軍事について



国防を担う三つ巴

公国は密偵・直属軍など様々な武力を有するが、中でも
公国盟軍地角隊(ちかくたい) 偽の盟軍「傭兵ギルド」 ドロハド大橋「大陸諜報機関」 は戦後の公国にとって大事な戦力となっている。

工作員「地角隊」

帝国と公国には、両国が和平同盟を結んだ際に結成された「盟軍」と呼ばれる組織が存在する。
これに所属する者は帝国・公国の出入国に制限を課されず、緊急時には軍を動かす権利を一時的に譲渡される。
自由な活動を保証された盟軍は高い地位にあるが、しかし両国間では多少扱いが異なってくる。

〔帝国盟軍〕が皇帝身辺警護を預かる対内組織色が強いのに対し、公国の盟軍は完全なる対外組織だ。
彼らは自国から出ることが叶わぬ主へ代わり、大公の目・耳・口となり外交や情報収集に尽力する。役目は多岐に富み、
大公直属の密偵として働く者
異端を見張る公安的立場に就く者
内乱の虞がある集団に紛れ込み抑制する者
など様々だが、仕事柄、情報収集へ秀でたドロハド大橋の諜報員も少なからず所属している。
このように公国盟軍は影の仕事を担うため存在そのものがひた隠しにされる。
しかし盟軍の存在は条約締結により知れ渡っている。よって表向きの偽盟軍が置かれ、国内唯一の傭兵ギルドとして世間の注目を集めていく。

傭兵ギルド

傭兵ギルドは〔帝都騎士団〕を元に、戦後に作られた組織である。
彼らは表向きの公国盟軍として戦後の貧窮に喘ぐ市民の依頼を日々こなしていく。
ギルド長は、公国有数の軍略家・辺境伯アルノルド。伯爵は自領の守備が優先されるため、彼の腹心バルドが本部纏め役に抜擢されている。
と言ってもこのギルドは帝国ほど完全な実力主義ではない。所属者に生粋の傭兵はおらず、貴族の子息、または貴族が雇った者が「仮の傭兵」として登録される仕組みだ。
いざ依頼が来ると、危険に晒されることの少ない指導役は貴族が、実際に剣を振るい鎌を持つ主力部隊は、貴族が事前に雇った仮傭兵が担当する。

貴族社会を脱し切れぬ公国を体現したような組織である。
だが辺境伯に見込まれた者は血筋に因らず、階級を上げることが可能。一例として、バルド、コリンナなどが挙げられる。
所属者の階級は色分けされて赤>金>銀>…といった上位者は非常に少ない。

大陸の諜報機関

北端に創られた人工の島・ドロハド大橋は「公国の属州」であり、大陸最大の諜報機関が存在する。
帝公冷戦時代、ミアナハ公国が帝国を出し抜くため秘密裡に設立した場所である。とはいえ先の竜頭戦争で大活躍した「武勇伝」と共に、諜報機関の存在は各国市民の知るところとなっている。

現在の最高責任者はザカ長官、〔ルチア大公爵〕の従兄にあたる人間である。
各地に点在する密偵によりかき集められた情報は分析官によって細分化され、統計を取られ、宰相を通して大公の耳へ入る。

しかしながら先の同盟協定により、公国は名目上帝国の属国。そのため大橋で手に入れた情報は皇帝にも届けられる。大陸最大の諜報国家を誇った公国の強みは時代と共に薄れつつあるようだ。

暗殺者と騎士

ミアナハ公国の戦闘スタイルは暗殺者だ。
鬱蒼とした密林地帯では鍛え上げられた暗殺者たちが闇討ちを、切り立った山脈では足腰の強い騎馬隊が山岳地帯を自在に走り奇襲を仕掛ける。従って公国戦闘員は小振りの毒ナイフ・罠・針を巧みに扱い素早い身のこなしで攻撃するのが特徴となる。

時代の変遷に伴い騎馬隊の数は減少したが優れた駿馬の血統も残る。 
公国馬は帝国馬より一回りほど小さく、代わりに俊敏性が高い。大戦に臨む場合は正面突破は難しくても小隊で駆け回って敵を翻弄することが可能である。

騎士道の終わり

滅びた神国、受け継ぐ公国。
遠い昔、宮廷文化と共に騎士が名乗りを上げて甲冑を煌めかせたのは〔ミアナハ神国〕だった。オルドーグ帝国が騎士の国と謳われるより、ずっとずっと前のことである。 
だが帝国独立戦争の最中に神国王家が虐殺を受けると、彼らは密林奥へ身を隠し、正々堂々と戦う騎士道をかなぐり捨てた。鬱蒼とした密林では暗殺者向きの戦い方がちょうどよかったのだろう。結局、ミアナハ人が時代遅れと見放した騎士道文化は、勝者であった帝国に受け継がれ、現在まで続いている。

魔法について



燃やす魔法、焦がす魔法







民族文化について



鉱石、ミアナハ人

ミアナハ人は血統で分類される大陸三人種のひとつである。 〔大陸三人種〕とはすなわち:ミアナハ人、オルド人、ケアド人。 ミアナハ人は〈竜の腹〉を中心に山々の恵みを享受し、多地域より一足早く文明開化させた民族だ。 特に成長を早めたのが竜背の金銀鉱山・竜尾の鉄鉱山。よって山々への畏敬の念を込めて「ミアナハ(鉱山)の人」と名乗るようになった。その大部分は公国に住まう。 赤角教で繋がる者達は、大公が治める地に住む者はみな同胞と考える。したがって血統分類ではなく〔赤角教〕の信者としての呼称として使われる場合もある。

外見的・文化的特徴

統一王朝を築いたミアナハ人は、早期から大陸各地に散らばっていたこともあり、様々な血と混ざり合ったためこれといった外見的特徴は見受けられない。
だが彼らは概して信心深く耽美主義的な気風を持つ。反面派手好きで金遣いが荒いと揶揄されることも。 

諜報部員、ドロハド系民族

神の許で祈るミアナハ人、情報の許へ集うドロハド系民族。
ドロハド系とは帝国・連邦国間を結ぶ「ドロハド(大橋)地域」で交易する人々の総称だ。
一般に「ドロハド系」と呼ぶ時は「諜報員」の意味で使う。
今や公国に欠かせない存在となった彼らは〔公国盟軍〕の一員としても高い評価を得ている。

公国の流刑地

この地は元々公国の流刑地であり交易する者はミアナハ人種が多かった。 だが必ずしも赤角教を信仰しているとは限らず、各々肌に合った宗派を胸の中でのみ信仰する。ましてやそれを「仕事」へ持ち込むことは決してない。 あるのは人工的な土地と橋のみ、他国が欲する資源を持たぬ彼らは「持たざる者」と嘲りを受ける。だがその情報網は大陸一の速さと精密さを誇る。 かくして流通や知識を武器に大陸中へ離散し、公国が再起する切っ掛けを作り出した。現在は帝国属国化した公国に伴い、帝国とも情報を共有している。

宗教について



赤き角への信仰

神は現れた、鳥の姿を象って。彼は人間を主と定め力を与えた――公国で主に信仰されているものは聖なる鳥・赤角ハームを最高神とする単一神教。
概して「赤角教」と呼ばれる。
赤角は不死鳥のような真っ赤な鳥の姿で、人間が実際に相まみえることが出来る珍しい神とされる。
学術的には「九竜信仰=大陸竜の肉体から分かれた神々を崇める信仰」の一部に分類。よって国は偶像崇拝を積極的に推奨。
羽根や鳥を象ったオブジェは神と同一視される。

赤角教の信仰

転生を信じる未来志向の宗教。赤角が纏う聖なる炎で身を焼き、魂を清めれば、生前の罪は贖われる。さすれば今世よりも身奇麗な身体で来世を迎え、神の本体が住まう天上世界で暮らせるという。
これは死への恐怖を取り除く意味合いも含まれという。
頻発する侵略戦争により志半ばで命を落とす若者達の心の拠り所となった。

教主と大公

最高位である教主はミアナハ大公<が担う。その座へ就く資格を得るためには赤角ハームとの契約が必要不可欠とされる。しかし神国時代から世襲化されているため、公爵家以外の人間が大公へ選出される可能性は限りなく少ない。
現在は〔リナルド・ルチア大公〕がこの地位に就く。彼は赤角の代弁者として民の信仰を集めている。

教主の責務

死にゆく者を看取り残された者達の悲しみを取り除くこと。これは赤角の代弁者・ミアナハ大公の最も重要な公務である。
大公となった者は幾日も幾日も死者の亡骸を焼き祈りを捧げることになる。従って宮殿を離れることも叶わず、他国との会合時も、名代を選出するか、他国の王自ら公国へ赴くか、の選択を迫られる。
葬儀は「大公が執り行うという」点以外は規則が緩いため死ぬ前に改宗し、赤角の炎を身に受ければ誰でも罪を払拭出来ると説く。
この寛容さにより赤角教は広く民衆に受け入れられかつての大覇権国〔ミアナハ神国〕を築く切っ掛けを作った。

神の序列と侮蔑

赤角本人は頭が弱く、人に自らの支配を委ねている。
人より優れているはずの神がなぜ暗愚なのか――神学者達曰く、この姿は人間界に合わせた仮の姿とされ、竜の魂が昇る天上の世界〔アハシュカル〕ではより高次な知能を持つ存在だと言う説が強く信じられている。
だが古くから赤角を知る幻獣達曰く「赤角は生粋の愚か者」とのこと。

赤角教の形式

政の中核を担い、実質的な物事を決めるのは宰相・大司教などの重鎮だが、信仰の頂点はあくまで大公。よって神官が目立つ格好をすると、返って不謹慎である。
慎み深く、財産・地位・名誉を聖鳥へ捧げるといった「清貧」を理想とする信者も多い。
派手な宮廷文化の反動だと言われている。

基本装束

赤角教の基本形は灰色のローブ。
灰のローブは炎に焼かれた後に残る灰
黒のインナーは焼け焦げた炭
赤い袖内側は聖なる炎
これらをそれぞれイメージしているという。
記念日やお祭り騒ぎの時は、一般信者もこれらを身につける。特に大切な催し事では、上級神官は豪華な金刺繍を施された白い羽織や襟巻きを身に付ける。戴冠式、勝利宣言、赤角の宣誓式などがこれに当たる。

階級色分け


階級色は白>赤>>青>黒>灰。
白:高温の炎が放つ最上級の色、特別な儀式のみ使用
赤:上級の色、大公だけが着用可(内側の色なら司教以上使用可)
青:中級の色、喪の色
黒:中級の色、正式に入門した物が着用
灰:下級の色、見習いや一般人が着用

階級別規則


赤角教
階級別 規則
見習い
助祭
見習いから助祭までは、基本形の上に黒く裾の長いケープを羽織り、フードを被る。
修行を始めて日が浅い僧侶は、聖鳥の炎に耐えきれず目を焼かれる危険があるからだ。
司祭
司教
ある程度修行を積み、司祭になると聖鳥の姿を掘った金鎖を胸に掛けることを許される。
司教など「ビショップ職」へ上がると、金鎖に装着する聖鳥の羽根を与えられる。この赤い羽根へ実際に触れることが出来る者は少なく、神の一部である羽根を授与されることは大変な名誉>と受け止められる。
以降、葬儀を司る者、政治に深く関わる者など専攻が分かれていく。
この時に葬儀へ関わる道へ進んだ者は「完全燃焼」「浄化」を意味する青色を身につけるようになる。(主にケープや腰巻き)
大司教
枢機卿
宰相
大司教へ上がると羽根が二枚になり、枢機卿になると三枚に増える。
政治を司る宰相は枢機卿内から選ばれる仕組みだが、階級区別を明確にするため、宰相に選ばれた枢機卿は「聖鳥の爪」で作られた耳カフスを付ける義務を負う。
大公
国王
<大公は赤角の羽根で織った紅のマントを羽織る。
このマントは体温に干渉せず、蒸し暑い公国でも着用者に苦行を強いることはない。中の服装自体は自由だが、現リナルド大公は公国軍服を愛用している。
なお、大公は「国王」ではない。王冠を被る資格は持たない。王冠は国宝として保管されている。



征服王朝の祖

搾取と凋落を経た大国、そは神なる国。ミアナハ人は神国時代、唯一にして最初の大陸統一王朝を成し遂げた民族である。
ー公国の歴史こそ浅いものの、前身・神国時代を合わせれば〔ミアナハ人〕は約四千年の歴史を持つ。

偶然の産物

ミアナハ人の勝利は、彼らが最初に居を構えた地域と関係が深い。
それは資源豊かな大陸南方地域、
〈竜の背〉を原産とする貴金属
〈竜の尾〉は豊富な鉄資源
〈竜の腹〉は恵み満ちた食糧地帯
偶然にもこの〔三カ所〕を選び取ったミアナハ人は金属を溶かす「火」を崇めながら、いまだ荒涼とするスマラグド大陸を力強く生きた。
ほどなく人間の繁栄に惹かれて姿を現した〔炎神・赤角〕と邂逅し「彼女」を崇拝する思想〔赤角教〕を形作っていった。

欲望と忠誠心

顕現せし神・赤角の加護と、強力な武器。征服する条件が揃っていた彼らはまたたくまに地域を支配していった。炎神が許す限り、同胞を増やしてどこまでも突き進んだ。
だが大陸を駆け尽くし、繁栄のもと国が落ち着くと、勝利を得たいという欲望の矛先は内側へ向けられる。 
これにより身の危険を感じた支配者は下克上を阻止する目的で忠誠心を説くようになった。公国で騎士道が美徳とされ始めたのにはやむにやまれぬ理由があった。
以降、ミアナハ人は正々堂々と戦うことを好んだ。だが神国王家が滅び、彼らが戦略的暗殺家業へ原点回帰した時、民衆はまたたくまに新しい思想へ馴染んだ。暗殺・拷問<といった、騎士道からかけ離れた思想へ――。

神国の凋落

公国が神国と名乗っていた時代の出来事だ。〔連邦国〕との戦いで国王と将軍が捕虜となる前代未聞の事件が起きた。
囚われの王は祖国の嘆願むなしく処刑され、将軍であった男はいずれ使う駒として大監獄へ投げ込まれた。男はいつしか故郷へ帰る日を夢想する中、まだまだ幼かった王子が神国王位を継いだと風の噂で聞いた。

彼は十にも満たない幼王だった。稀にみる聡明な少年であった。だが新体制を迎えたばかりで不安定な情勢の隙を狙われた神国王家は、新王ともども滅ぼされるのだった――。

神都から廃都へ

当時、依然として神国の財力源の役目を負わされていた 〔オルドーグ小王国〕。後の〔オルドーグ帝国〕は経済的・軍事的な完全独立を神国へ要求していた。
交渉のために幾度も会合が開かれたが、収入を減らしたくない神国側の返答はいずれも否であった。
取り付く島もない神国の態度にオルド人がしびれを切らすのも無理もない反応だった。彼らは言葉を介した独立は諦め、同盟都市間で密かに軍を組織し、連邦国の 〔反王党派〕の力を借りて神都へ乗り込むと街を焼き王家を虐殺した。

積年の恨みがなせる技か、幼い跡継ぎまでも消されたミアナハ=ステッラ王朝は急速に求心力を失いやがて滅亡した。
しかしオルド人は、神国を統治する全ての人間を消すことは叶わなかった。神の国という名の通り「守護神」たる赤角が存在する限り「ミアナハ人」の王国は不滅だと強く信じられていたからだ。
たとえ王家が滅びてもミアナハ人が赤角へ祈りを捧げ続ける限り国を再興させることは容易かった。

公国の成立

ステッラ朝最後の幼王は、虐殺事件が起きた時、神・赤角ハームと優秀なルチア宰相(爵位は公爵)を呼び出し生き残った国民を導くよう諭した。
指名されたルチア公爵家は次なる国の統治者として新たに赤角と契約し、ミアナハ人を引き連れ〈竜の腹〉南方へ移り住んだ。これが 〔ミアナハ公国〕成立の起源となる。
遺棄された神都は深い静寂に包まれ誰ともなく「廃都シレンティウム」と呼ばれるようになったという。

再興を目指して

神国の生き残りは追撃を恐れ廃都以南一帯を赤角の力で火の海にした。一時的ではあるが行く手を阻まれた虐殺者が撤退すると、ミアナハ人は「あること」を考え付いた。定期的に整備していた北方の亜熱帯森林地帯を放置、天然防護壁としたのだ。
以来、何百年間も放置された本編では〔密林地帯〕として公国のランドマークの一つにもなっている。
炎の壁により、ようやく眠れる夜を迎えた公国民が次に行ったことは衣食住の安定だった。
彼らは巨大な湖の周りにぽつりぽつりと落ち着き、故郷を灰にした炎と燦然と輝く湖の夕日を見比べては頬を濡らしたが、初代大公の献身的な導きは新たな都作りの足がかりとなった。

一度は凋落を経験したミアナハ人は湖に浮かぶ孤島を彫っては幻想的な湖城を、石切場に足繁く通っては涼しげな白い石造りの住居を作り力強く美しい町並みへ発展していった。現在は宮廷文化が花開き、〔リナルド現大公やアルノルド辺境伯の主導で大陸流行の最先端を走っている。

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