ゾイ王家は亜人血族〔黒牙族〕の血を色濃く引いた家系である。身体能力に優れ 、前線で活躍する優秀な闘士を多く輩出してきた。殊に血濃い者は竜の血族、すなわち 。連邦国において竜返り と呼ばれる竜返りは王位継承順位が上がる ため女王から敵視されている。
❖祖国からの亡命者 ❖
かつて王党派中心に居たゾイ王家は祖国を追われる身となった。 伯母アリアドネが王家の統治に反発してクーデターを起し絶対君主となった後、王党派血脈の象徴であるコリンナを大監獄へ収監した。そして彼女は叔父ミハリスに救い出されるまでの十代前半を囚人達に囲まれて育つ 。その後ミアナハ公国へ亡命し同国ルチア大公から庇護を得て傭兵ギルドで名を馳せている 。最初こそ風当りは強かったが現在は国際同盟軍の一員 にも選ばれている。
❖ 王太子の私生児 ❖
コリンナは連邦国太子リガスの血を引く私生児、かつ長子だった。 政変の末に政治犯と見なされたのは最大の理由である。もっとも竜頭難民だった母シビルの移民地位は低く 、その子ら含めてゾイ王家系譜に受け入れられることはなかった。しかしリガスが国王になった暁には妻子を正式な家族として迎え入れる心積りだったこと、竜返りの力を発現しており継承地位が高いこと、容姿が太子に似ているため王党派が彼女を新たな象徴にしようとする動きがあったこと 等により、本人の意図せぬところで女王から目の敵とされる。 なおコリンナという名は叔父の双子の妹にちなみ名付けられた 。両者とも同綴りを使うが、妹は「コリンヌ」、姪は「コリンナ」と読み方に違いがある。
❖ 従者ハリラオス ❖
ハリラオスは王太子リガスが自ら選んだ直属護衛だった。 素行は悪いが誰よりも忠誠心の堅い護衛剣士。剣技だけならば大陸最高峰 とされ、かつて竜を討ち取った伝説の大剣フランベルジュを賜る ほど太子の寵愛を受けていた。だがある戦いで敵に取り囲まれた際、反王党派のバラウール老将軍に魔法で心臓を刺し貫かれて死亡。首だけとなった父親、そして虫の息のまま館へ送り返されたハリラオスを認めるや、家族のように仲が良かったコリンナは珍しく泣きじゃくったという。この事件はコリンナの心に深い傷を残している。